消化器科の病気ガイド
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胆道がん

胆道がんについて

胆道ガン(胆のうガン、胆管ガン)とは

沈黙の臓器とも呼ばれる肝臓は、再生能力・代償能力に優れ、ダメージを受けても残った正常細胞が余分に働いて、機能を維持するタフな臓器です。しかも痛みなどの症状を出すことがあまりないため、異常があっても自覚症状はほとんどなく、異常に気付いたときには病気がかなり進行していることがあります。今回のテーマは、そんな肝臓で作られた胆汁が、膵臓、十二指腸へと流れていくための通り道=胆道のガンについてです。胆道ガンは、胆のうガンと胆管ガンの2種類あります。胆のうは、胆汁を濃縮して貯留する臓器です。胆管は、胆汁の通る管の総称です。肝臓同様、「沈黙度」は最強クラスで、かなり危険なガンといえます。

特にむずかしいのは肝門部のガン

厚労省の2002年人口動態統計によると、胆道ガンの死亡者は15713人、罹(り)患数16849人です。がんになる人の数と亡くなる人の数にほとんど差がないことからみてもわかるように、胆道がんは決して治りやすいがんとは言えないのが現状です。

がんによる部位別の死亡者も膵がんに次いで2番目で、非常に厳しいガンなのです。というのも、胆道ガンは、初期にはほとんど無症状ですが、ガンが大きくなって胆汁の通り道をふさぐようになると、閉塞性黄疸が起こります。

ガンも含めて胆道系の病気の多くは、この黄疸がサインになって見つかることが多いのです。しかし、肝臓の出口付近(肝門部)から左右肝管合流部よりも上流にガンができた場合、一方の肝管がガンでふさがっても、もう一方の管を通って胆汁は流れることが可能です。そのため、黄疸という重要なサインが出ないことがあるのです。これが、胆管ガンの発見を遅らせる原因にもなります。

「同じ胆道ガンであっても、ガンのできた部位によって、ガンの病態や進展のしかた、治癒率などには、かなり違いがある」と国立がんセンターのK医師は言っています。発見しにくく、治しにくい、胆道ガンのなかにも、さらに「差」があるわけです。

ハイリスクなのは膵胆管合流異常がある人

胆のうがんは女性に多く、胆管がんは男性に多いようです。年代では70代が最も多く罹患しているので、加齢はひとつの危険因子といえます。

胆管は十二指腸に流れ込む所で膵管(すいかん)と合流しますが、その合流に生まれつき異常(膵胆管合流異常(すいたんかんごうりゅういじょう))がある場合も、リスクは高まります。刺激の強い膵液が胆管に常時逆流し、その人が胆管拡張をもっている場合には、膵液が胆管にたまり胆管ガンができやすくなるのです。

一方胆管拡張のない場合は、膵液が胆のうにたまり胆のうガンができやすくなります。そのほか、胆管に原因不明の慢性炎症を起こす原発性硬化性胆管炎(げんぱつせいこうかせいたんかんえん)という病気があり、胆管がんを約10%の確率で合併します。

胆石になったら、胆のうがんを疑ったほうがよさそうです。胆のうがんの約60%に胆石の合併がみられるからです。ただし、胆石をもつ人で胆のうガンになる割合は、胆石手術をした患者の1~2%程度です。今のところは、胆石と胆のうガンとの直接的な因果関係は証明されていないそうです。

その他、肥満や高カロリー摂取、野菜・果物の低摂取、出産回数が多い、などがリスク要因の候補にあげられています。

黄疸はガン発見の最重要サイン

胆道ガンは、自覚症状がほとんどないため、早期発見が難しいのが特徴です。ほとんどの場合、黄疸のない状態で発見されることはないのが現状です。

黄疸をはじめ、便が白くなる、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶色になる、全身に激しいかゆみが起こるなど、黄疸に伴う特有の症状が認められたら、急いで消化器ガンの専門医を受診しましょう。

黄疸は胆道ガンの初期症状として大切なサインです。ただし、肝臓内の細い胆管や胆嚢にがんができた場合には黄疸の症状が出にくいため、ガン大きくなってから症状が出てきます。

みぞおちから右上腹部の鈍痛、食欲不振、体重減少、発熱などの症状を伴うこともあります。胆道ガンの有無は、採血検査と画像診断で調べます。

採血検査

胆管が詰まると肝機能異常があらわれます。ガンの指標となる腫瘍マーカーも調べますが、ガンで必ず上がるとは限らないため、早期診断の効果は疑問視されています。

画像検査

基本は腹部超音波検査です。胆のうガンでは、胆石などが重ならなければ、ガン自体を描出できます。一方、胆管ガンではガン自体を描出できないまでも、拡張した上流の胆管を描出することが診断の手助けになります。

外来で手軽に行うことができ、苦痛も全くなく、すぐに検査結果がわかります。ガンの疑いが強い場合には、CTやMRI等の検査によって病気の広がりを確認します。

胆道ガンの治療法

治療は、胆のうガンも胆管ガンも手術が基本です。

ただし、転移などで手術できないこともあります。手術ができない場合は、抗がん剤治療や放射線治療を行います。抗がん剤治療では塩酸ゲムシタビン(ジェムザール)やティーエスワンという抗がん剤が使われます。

放射線治療には、体の外から照射する体外照射法と、胆管内から照射する胆管腔内照射法がありますが、その効果は限られています。

まとめ

罹患者と死亡者がほぼ同数の胆道ガン(胆のうガンと胆管ガン)は、難治性のガンの1つです。

◎病気をあらわす最大のサインは黄疸。黄疸を発見したらすぐ病院へ。
◎発見に有効なのは超音波検査
◎治療は手術が基本

以上の3点を覚えておいてください。