消化器科の病気ガイド
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大腸がん

大腸がんについて

大腸ガンは発見が遅れやすい

実は、大腸ガンというのは、「かなり予後のいいガン」と言われています。「全がん協部位別臨床病気別5年相対生存率(1997‐2000年)」のデータによると、大腸ガン3期の5年生存率は、結腸部分が77.4%、直腸部分が71.7%でもあります。数あるガンの中で、3期まで進行していても5年生存率が7割を超えているのは、前立腺ガンと甲状腺ガン、そして大腸ガンだけなんです。ところが。2008年のがん統計の部位別ガン死亡数を見てみると、死亡数1位が肺ガン、2位が胃ガン、そして3位が大腸ガンとなっているんですよ。さらに女性だけで見れば、大腸ガンは死亡数1位となっています(男性は3位)。「大腸ガンは5年生存率が高いはずなのに、なぜ死亡数が多いんだろう?」そんな疑問も出てきますよ。その大きな原因は、「大腸ガンはかなり進行してから発見されるケースが多いから」です。さきほどの全がん協のデータから、大腸ガンの進行度別の症例数を見てみると・・・

結腸部分は1期1,046人・2期885人・3期1,173人・4期789人。

直腸部分は1期685人・2期582人・3期813人・4期412人。
ご覧のとおり、直腸部分・結腸部分ともに、もっとも症例数が多いのが3期なんですよ。4期もかなり多いです。(※4期の5年生存率は、結腸部分20.1%・直腸部分16.3%)つまりこのデータは、「ここまで進行して初めて、大腸ガンに気付くという人が多い」という証拠ともいえるわけです。
では一体どうして、発見がそこまで遅れてしまうのでしょうか。大腸ガンの発見が遅くなる大きな原因と思われるものを、いくつか挙げてみましょう。

・痔と症状が似ている部分が多いので、痔だと思い込んでいる人が多い。
・退職後など、高齢になってからかかるケースが多いので、定期健診を受けたりする機会がない。
・定期健診を受けても、便に血が混じってないかを調べる「便潜血反応」を調べる程度のものが多く、たとえ大腸ガンがあったとしても出血をともなう症状でない限り、発見されにくい。

こうして見ると大腸ガンの早期発見はかなり難しいことのように思えます。ですがそれでも、自分の体調などをよく観察していれば大腸ガンを早期に発見することは可能です。

大腸ガン早期発見のためのチェックリスト

まずは、大腸ガンになるリスクの高さをチェックしてみましょう。

・年齢は50歳以上
・食事はあまりよく噛まない。早食い傾向がある
・魚よりも肉を好んで食べる
・野菜はあまり食べない
・和食よりも洋食を好む
・加工食品をよく食べる
・ストレスがたまっている
・身内に大腸ガンになった人がいる

当てはまる項目が多ければ多いほど、大腸ガンになるリスクは高まってしまいます。

大腸ガンの症状

では次に「ひょっとしたら大腸ガンかもしれない」と思われる症状について挙げてみましょう。

1、排便の際、ちょっと黒みがかった血、あるいは血のかたまりのようなものが出る
2、出血しているのに肛門が痛くない
3、黒い便が出る
4、貧血をおこしやすくなってきた
5、便が出にくい。細い便しか出ない
6、だんだん便秘になってきたような気がする
7、便秘と下痢を繰り返している
8、排便後も残便感がある

1~3の項目は「出血をともなう大腸ガンの可能性が疑われる症状」です。

1、2の症状は痔と似たところがありますが、切れ痔の場合、出血は真っ赤な鮮血であり、さらに排便時に肛門付近に痛みを感じることが多いです。

直腸部分のガンも肛門に近いので鮮血に近い出血になることはありますが、初期の場合痛みはほとんど感じません。つまり、「鮮血ではない出血・痛みのない出血」のどちらかひとつでも該当したら、それは痔じゃないかもしれないということです。

そして4~8の項目は、「出血はないが大腸ガンの可能性が疑われる症状」です。腫瘍によって大腸が圧迫されたりすることで正常な働きができなくなり、便通異常が生じるわけです。

これらの項目にひとつでも該当したら、念のために診てもらったほうがいいでしょう。それで診察の結果、たとえば大腸ガンじゃなくて痔だったとしても、治したほうがいいのは間違いありません。

また、大腸ガンが進行すると、体重が急激に落ちる、食欲がなくなる、などの症状も出てきます。こうした症状が出た場合は、一刻も早く診てもらって下さい。

大腸ガンを予防するために!日常でできること

さて、大腸ガンを予防するにはどうしたらいいでしょうか。

さきほどの大腸ガンリスクのチェック項目の中で、個人の努力でどうしようもないのは「年齢は50歳以上」および「身内に大腸ガンになった人がいる」の2項目だけですよね。

つまり、残りのチェック項目部分を改善していけば、大腸ガンのリスクをかなり下げることができます。

食生活の改善点については・・・

・できれば和食の割合を増やして、よくゆっくりとよく噛んで食べる。

・肉ばかりじゃなく魚も適度に摂取し、野菜を食べることも忘れない。

・加工食品には頼らず、できるだけ手作りの食事を心がける。

といったところでしょうか。

そしてここでさらに、「食事の際は必ず、汁物や野菜類などに口をつけてから、メインの肉や魚を食べる」というのを加えるとグッド。

実は、おなかがすいた状態のところに肉などをいきなり入れると、これが消化器官にとって、ものすごい負担になるんです。たとえるなら、準備体操をせずにいきなりプールに飛び込むようなもの。

ですからまずは汁物や野菜など、消化器官に負担が少ないものを食べて「消化の準備体操」をさせてから、肉などを食べるほうがいい、というわけです。

あとはストレスの緩和です。

誰でも簡単にできるストレス緩和方法としては、ツボ刺激がおすすめです。手の、薬指と小指の股の部分(水かき部分)に「液門」というツボがあり、ここを刺激すると神経の興奮が鎮まってきます。

簡単に刺激できるツボですから、通勤電車の中や、昼休みなどを利用してもんでおくといいですよ。深呼吸を併用するとさらに効果アップですのでおすすめです。

食生活の改善&ストレスの緩和で、「大腸ガンを寄せつけにくい体」を作りましょう。

まとめ

毎年のように患者数が増大している大腸ガンは、けっして他人事の病気ではありません。ですがその反面、大腸ガンは予防のための生活を心がければリスクは格段に下げられますし、もし大腸ガンになってしまったとしても、1期・2期のうちに発見できれば、かなりの確率で助かることができるんです。

早期発見のため、定期的に内視鏡検査まで受けるのは現実的に難しいかもしれませんが、自分の健康に気をつけることくらいならできますよね。

「出血・貧血・便通異常」などの症状への自己チェックを忘れず、そしてもし症状が出てきたら、その時は早めに医師に診てもらいましょう。