消化器科の病気ガイド
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胃がん

胃がんについて

今回は「胃ガン」についてご紹介します。おそらく、「ガン」という言葉を聞くと、真っ先に胃ガンを連想する人が多いのではないでしょうか。胃ガンは男女共に、発生率が大変高いと言われています。しかし胃ガンは、とても患者数の多いガンですが、早期発見さえできれば、かなりの確率で助かるガンとしても知られています。ガンの進行度は、「○期」というステージで分類されますが、いわゆる「早期発見」に該当するのは、「0~1期」にあたります。「全がん協部位別臨床病気別5年相対生存率(1997‐2000年)」のデータによると、胃ガンの場合、1期の5年生存率は99.1%という、きわめて高い数字となっています。つまりこの段階で胃ガンだということに気付けば、助かる可能性が非常に高いと言えます。しかし、そこから先は5年生存率が一気に下がり2期だと72.6%、さらに3期なら45.9%となり、5年生存率が半分を切ってしまいます。そして4期では7.2%という、きわめて厳しい数字となってしまうのです。そして、さらにこのデータで胃ガン患者のステージ分布を見てみると、恐ろしい事実が見えてきます。ステージ別の患者数で、もっとも数が多いのは1期ですが、その次に多いのは、なんと「4期」なのです。これはどういうことかというと、1期までの段階の胃ガンには、実は自覚症状を感じることはまずありません。ですから、検診などで偶然発見されるケースがほとんどです。逆に何らかの自覚症状が出ている場合は、すでにある程度進行している可能性が非常に高くそしてこの自覚症状も、2期のあたりだと「ただの胃もたれ」「最近疲れてるからなあ」などと、まだまだ見過ごされがちで、いよいよ「これはおかしいぞ?」と感じる頃には、その多くが3・4期まで進行してしまっています。この結果は定期的に検診を受けている人は1期で発見されることが多く、そうでない人は4期まで放置してしまうことも多いと言え、きちんと検診を受けているか、そうでないかで、これだけ明暗が大きく分かれてしまいます。

胃ガン危険度チェックリスト

あなたが胃ガンになりやすい体質や生活習慣かどうかをチェックしてみましょう。

・ 年齢は40歳以上で、胃ガンの検診は特に受けていない。
・ 自分がピロリ菌を保有しているかどうかを知らない、あるいは保有しているが
  そのまま対処せず放置している。
・ 味付けの濃い食事を好む。
・ 食事の際によく噛まず、早食いの傾向がある。
・ おなかいっぱい食べないと気がすまない。
・ アツアツのものをよく食べる。
・ 野菜・果物をあまり食べない。
・ 寝る2時間前以降に食べ物を口にすることが多い。
・ 喫煙の習慣がある。
・ アルコール度数の高いお酒をストレートで飲むことが多い。
・ 常にストレスがたまっている。

該当項目が多ければ多いほど、胃ガンのリスクが高く特に、最初の2項目は要注意です。
検診は早期発見のために欠かせない手段ですので、胃ガン患者が一気に増える40代になっても
検診を受けないというのはきわめて危険です。

また、ピロリ菌は保有しているだけで胃ガンリスクが5倍にもなると言われていて、
まず「自分がピロリ菌を保有しているかどうか」を検査しましょう。
面倒だと思われるかもしれませんが、検査は1回で済みます。
中高年の方は特にピロリ菌保有率が高いので必ず検査を受けましょう。
そして、もしピロリ菌を保有しているという結果が出れば抗生物質などの処方をしてもらい、
しっかりと除菌しておくことが何よりも大切です。

こんな工夫で胃ガン予防

胃ガンを予防するにはどうすればいいでしょうか。
検診とピロリ菌の検査・除菌はもちろんのこと、先ほどのチェックリストを見ても分かるとおり、
カギとなるのは「食生活」です。

まず、塩分を控えるために、お酢やドレッシングを代用しましょう。
たとえば豆腐や焼き魚にしょう油をかける代わりに「ポン酢」を使っても美味しく食べられます。

また熱いものはある程度冷ましてから食べることもポイントです。
食事の際に「熱くないおかず」から口をつける、というのもいい手です。

野菜・果物の摂取は胃ガンリスクの軽減に欠かせません。
野菜や果物をほとんど摂取しない人の胃ガンリスクを1とした場合、
摂取する人のリスクは0.7程度にまで軽減されるということが、国立がん研究センター・
予防研究部の論文として発表されています。

野菜や果物は、きちんと「噛んで食べる」ことが一番いいのですが、
それが難しい場合は生ジュースとしての摂取をするといいでしょう。
ミキサーがあれば、いろんな生ジュースが作れます。
野菜なら、「炊き込みご飯の具」にして、摂取量を増やすこともできます。

しかし、食生活の改善のため「よく噛んで、ゆっくりと、腹八分目の食事をしましょう」
と言われても、自分の意思ではなかなか難しいものです。
そんな時は、以下のような工夫をしてみましょう。

食事前にホットミルクを飲む。

牛乳は胃の保護に役立つので、その後の食事においての胃への刺激を軽減してくれます。
また、カロリーが低いわりには飲みごたえがあり、食事の量を多少減らす役割も果たしてくれます。
さらに、牛乳のカルシウムがストレスも鎮めてくれるので、これも胃ガンリスクの軽減に役立ちます。

食器とランチョンマットを青にする。

青色は、人が本能的に「食べ物には向かない色」と認識するため、
青色を見ただけで食欲が落ちるそうです。だからといって、
着色料でおかずを青色にする訳にはいきませんので、食器とランチョンマットを
青色にするのがおすすめです。

目を閉じて食事をする。

ご飯などを食べる時に、目を閉じてみましょう。
すると不思議なほどに食事のペースがゆっくりとなり、また、いつもよりも
少ない量で満腹感が得られます。ただし、汁物を食べる時は、こぼしてしまう危険性が高くなるので、目を開けて食べてください。

ちょっとした工夫でガンになりやすい食習慣を、少し改善することができます。
是非、何か一つでも取り組んでみてください。

まとめ

胃ガン予防と対策の基本となる三本柱は
「定期的な検診・ピロリ菌除菌・食生活」と言っていいでしょう。
これらすべてを実践していても、胃ガンにかかってしまう可能性がゼロになるわけでは
ありませんが、何もしないよりははるかに「早期発見・罹患リスク軽減」に役立ちます。

また「胃ガンになったらどうしよう」と怖がりすぎて、そのままそれが
「ストレス」になってしまわないようにも注意してください。

ステージ別の5年生存率を見ても分かるとおり、胃ガンは
「早期発見さえできれば、そこまで恐れる必要はないガン」です。

検診をちゃんと受けて、日ごろの生活でもしっかりと予防対策を心がけることが重要です。