消化器科の病気ガイド
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食中毒

食中毒

事前に知っておこう!食中毒の知識

時おりテレビで流れる「○×市のレストランで数十人が集団食中毒に」というニュース。わたしたちは「またか」と思い特に気にとめることもありません。でもちょっと待ってください。食中毒は何も、レストランや食店で起きるものではありません。むしろ、一般家庭のほうが発生率が高いのです。しかも、病原体によってはあっという間に死に至るものもあります。もし食中毒になったら、時間との勝負です。緊急の対処を知っているかどうかが、生死の分かれ目になることもあります。もはや、知らなかったでは済まされない食中毒のキケンをご紹介します。

食中毒の種類

黄色ブドウ球菌  危険度☆

黄色ブドウ球菌は、危険度は低いながらも感染率の高い菌です。人の手から食品へと感染するため、おにぎりやサンドイッチなど、じかに手で調理した食品を食べることで発症します。症状としては、胃の不快感から嘔気、激しい嘔吐を生じ、下痢や強い腹痛が生じるもののたいてい1~2日で回復します。

サルモネラ  危険度☆☆

サルモネラ菌は、主に古くなった卵の白身や黄身に繁殖します。卵の場合は、十分に加熱していないことが原因です。時に、犬や猫等のペットからの感染もあります。症状は、発熱や激しい腹痛など。致死率は1パーセント以下と低く、さほどキケンではありません。

ノロウイルス  危険度☆☆☆

ノロウィルスは、冬から春の間に発生することが多くもはや冬の風物詩になりつつあるほどです。ご存知のように、感染源のほとんどが生のカキによるものです。いったんかかると、ひたすら激しい嘔吐と下痢を繰り返します。悪化した場合は、発熱やのどの痛みといった風邪に似た症状も起こります。致死率はわずかですが、しばしば高齢者を中心に集団発生するので注意が必要です。

病原性大腸菌  危険度☆☆☆☆

有名なO-157(オー157)を含むのが、この病原性大腸菌です。レバーなどの牛肉をはじめとする食肉に付随する病原菌です。発症すると下痢や血便、激しい腹痛を生じます。悪化すると、意識障害や尿毒症が起こり死に至ることもある怖い病原菌です。その症状の激しさから、危険度はかなり高いと言えます。

「もし起きてしまったら?」危険なサインは?

危険度の低い食中毒であれば、1~2日で症状は軽減し自然に治ります。

しかし、実際に食中毒になったとき、危険度が高いか低いかは分からないものです。ここでは、危険なサインを4つ集めました。

次の症状がある場合は、ただちに病院を受診しましょう。

血便がある

血便とは、便に少量または多量の血液が混じることを言います。血便があると、病原体が腸壁の細胞を破壊している可能性が。放っておくと、敗血症や腹膜炎など生死に関わることがあります。

下痢が1日10回以上

脱水の危険性があります。特に小児や高齢者は危険です。

言葉がうまく出せない

神経毒の可能性があります。呼吸が止まってしまうことも。

39度以上の発熱

発熱に伴う体力低下が2次症状を引き起こすことが考えられます。

キケンでない場合は、どうしたらいいの?

まずは最寄の保健所に

まずは、保健所に連絡しましょう。便などの検査をしてもらえるので、菌の同定が可能になります。食べ物を出したレストランへの行政指導も行われるので、今後の被害拡大をとどめることができるでしょう。

下痢止めを飲むのはNG!

下痢や嘔吐などは確かに不快で、辛い症状です。しかしこれは、体内に入った毒素や菌を排出しようとする体の防御反応です。下痢が続いても、ひたすら出るに任せましょう。

こまめな水分補給を

下痢と嘔吐で水分が失われるため、脱水を防ぐことが重要です。電解質のバランスが崩れないように、純水よりもスポーツドリンクなどのほうがオススメですね。ない場合は、水に少量の砂糖を入れたものでOKです。

「転ばぬ先の杖?」食中毒の予防はこうする!

食品は、お買いものの最後に。

短時間だからと油断は禁物。食品は、日用品などを選んだ後に買い鮮度が落ちないようにしましょう。特に生野菜や食肉などの生鮮食品は食品の中でも最後に。

肉や魚介類は、ビニール袋に入れて。

肉や魚介類から出る汁が他の食品に付くと、菌が繁殖してしまいます。必ずビニール袋に入れて、他の食品と分けておきましょう。

冷凍の食品は、解凍したらすぐに調理を。

一度解凍すると、瞬く間に菌は繁殖します。なるべく早く使い切りましょう。また、解凍する場合は室温で行うのはとってもキケンです。電子レンジもしくは冷蔵庫にて解凍を行いましょう。水で解凍する場合は、流水を使用すること。一度解凍したものを、再び冷凍するのは味覚の面からも衛生の面からもNGです。

作りおきの料理を食べる際は、十分な加熱を

作りおきをするとその間に菌は繁殖しています。食べる直前にはレンジなどで十分加熱しましょう。加熱後の容器のそこを触ってみて、中心が温かくなっていれば加熱されている証拠です。反対に周囲は暖かいのに中心がまだぬるい、と言うときには十分に加熱されていないので温めなおしてください。

日の経った残り物は、思い切って捨てる

実際のところ食中毒の原因の多くが、「日がたっていたけど、もったいなくて食べた」ことによります。気持ちは痛いほど分かるのですが、健康第一です。時には、心を鬼にしてばさっと捨てましょう。

食後の食器は、すぐに早く洗いましょう。

食べた後食器を放置しているだけで、菌は繁殖してしまいます。また、汚れが落ちるからと水に浸して置く方もいますが、これもNGです。流水を使って洗い流しましょう。

まとめ

昔から、食中毒にかかることを「あたる」と言いますね。当たり外れの「あたり」であり、まるで賭け事のようなニュアンスさえ感じられます。たっぷりと脂の乗った牛肉や、レモンをキュッと絞った生牡蠣など……。よだれが出そうなほど美味しそうなものを目の前にすると、人はついつい自制を失ってしまうのかもしれません。

しかし、美味しいものを食べることは、ギャンブルではありません。きちんと防御できていれば、食中毒は必ず防げます。

・血便、頻回な下痢および39度以上の発熱は、一刻も早く病院へ
・おかしいな、と思ったらまずは保健所へ連絡を
・下痢止めを飲むのはNG
・食品を扱うときは、細心の注意を